Living Beauty Notes|物語の向こう側-第3話「私のことは、いつも後回し。」

living beauty stories Sep 06, 2026

 

――あなたの人生の中に、「あなた」はいますか?

「あとでやろう。」
私たちは、一日の中で何度この言葉を使っているでしょう。

読みたかった本。
行ってみたかった場所。
少し休むこと。
身体を整えること。
会いたかった人。
そして、いつかやってみたいと思っていること。

「時間ができたら」
「家族のことが落ち着いたら」
「もう少し余裕ができたら」

そう思っているうちに、一日が終わります。

Living Beauty Stories 第3話の美咲も、そうでした。

家族の朝食をつくり、夫を送り出し、娘の用事を引き受ける。
ようやく時間ができて、読みたかった本を開こうとすると、母から電話がかかってくる。

電話を終えたら洗濯。そして買い物。
気づけば夕方。

朝からテーブルに置いてあった本を見て、美咲は言いました。
「……また今度でいいか。」

誰かが悪いわけではありません。
夫も、娘も、母も、美咲を困らせようとしているわけではない。
そして美咲自身も、嫌々家族のために動いているわけではありません。

大切な人だから、してあげたい。
だからこそ、この物語は少し複雑なのです。


「自分を大切にする」とは、自分を優先すること?

「もっと自分を大切にしましょう」よく聞く言葉です。
けれど、家族を大切にしてきた人ほど、こんなふうに感じることがあります。

「自分を優先したら、わがままなのでは?」
「家族より自分を大事にするということ?」
でも、本当にそうでしょうか。

美咲が気づいたのは、
家族を大切にしてきたことが間違っていたということではありません。

家族は大切。
家のことも大切。
母のことも大切。
そのすべてを認めたうえで、ふと気づいたのです。

「私のことも、大事だったんだ。」

ここに、とても大きな違いがあります。

「家族か、私か」ではありません。
家族も、私も。
自分を大切にするとは、誰かを大切にしなくなることではなく、

自分自身も、大切な命の一つとして扱うこと。
なのではないでしょうか。


なぜ、自分だけが「あとで」になるのでしょう

美咲は、誰かから命令されて自分を後回しにしていたわけではありません。

むしろ、自分で選んでいました。
「これだけ片づけてから」
「洗濯してから」「買い物してから」どれも、とても合理的です。

だから、気づきにくい。

第2話で美咲は、「これからは、私が選んでいきたい。」と思いました。

ところが第3話で見えてきたのは、
「自分で選ぶ」と決めただけでは、毎日の選択がすぐに変わるわけではない、ということでした。
私たちは長い年月をかけて、「こちらを先にするもの」「これは後でいいもの」
という順番を、知らないうちにつくっています。

そして、その一番最後に自分を置くことが習慣になれば、いつしか、
自分が何をしたいのかさえ、わからなくなってしまうことがあります。


生命力は、大きな決断だけに現れるものではない

人生を変えるというと、

仕事を変える。
新しいことを始める。
大きな夢に挑戦する。

そんなことを想像するかもしれません。

けれど生命力は、もっと小さなところにも現れます。

「今日は少し休みたい。」
「この本を読みたい。」
「この果物を食べたい。」
「ちょっと外を歩きたい。」

そんな身体や心から生まれる小さな声を、
自分自身が聞いてあげること。
そこにも、生命力はあります。

DAY3で、美咲は読みたかった本を開きました。
たった、それだけです。

けれど美咲にとっては、いつもと違う選択でした。
キッチンを見て、また立ち上がることもできた。

でも今日は、本に戻った。
そして言います。
「今日は、こっちから。」

人生は、突然大きく変わったわけではありません。

けれど、人生の中に、美咲自身が戻ってきました。


あなたの「あとで」は、何でしょう?

ここで少し、自分の暮らしを振り返ってみませんか。

「いつかやりたい」「時間ができたら」
「落ち着いたら」
そう言いながら、ずっと後回しにしているものはありませんか。

それは、大きな夢でなくて構いません。
読みたい本かもしれない。
身体を休ませることかもしれない。
好きなものを食べることかもしれない。
誰かに会うことかもしれない。

あるいは、「私は、本当はどうしたいんだろう?」
と自分に尋ねることそのものかもしれません。

明日、人生を全部変える必要はありません。
美咲のように、一つだけでもいい。
いつもの「あとで」を、「今日は、こっちから。」に変えてみる。

その小さな選択から、
眠っていた自分の生命力が、静かに動き始めるのかもしれません。


Living Beauty Stories 第3話

「私のことは、いつも後回し。」

家族を大切にしながら、
自分も大切にする。

誰かの人生を生きるのではなく、
自分自身もそこにいる人生へ。

美咲の物語は、まだ続きます。

そしてこれは、美咲だけの物語ではありません。
誰にでもある、生命美の物語です。

Living Beauty Stories 生命美の物語はこちらより
物語の向こう側 第1話 「私、このままでいいのかな?」
物語の向こう側 第2話 「これは本当に私が選んだ人生?」

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