美咲は、48歳。家族がいて、暮らしがあって、毎日やることがある。
決して、不幸な人生ではありません。
むしろ美咲はこれまで、 その時々で一生懸命考えながら、生きてきました。
家族が喜ぶこと。 ちゃんとすること。 間違わないこと。
きっと、その一つひとつを 「これが一番いい」と思って選んできたのです。
けれど第2話で、源美咲は美咲に問いかけます。
「それは、美咲が選んだこと?」この問いから、美咲の中で何かが動き始めました。
朝、何を食べるか。何を着るか。どんな仕事をするか。誰と結婚するか。どこに住むか。そして、これからどう生きるか。
私たちは毎日、たくさんのことを選んでいます。
でも、その選択を少し丁寧に見てみると、その後ろにはたくさんの「理由」があることに気づきます。
「身体にいいから」「家族が喜ぶから」「失敗したくないから」「みんながそうしているから」「こちらの方が安心だから」「これが普通だから」
理由があることが、悪いわけではありません。
家族を思うことも、 健康を考えることも、 失敗しないように考えることも、
私たちが生きていくうえで、とても大切なことです。
けれど——
いつの間にか、 その「理由」の方が私たちを動かしていることはないでしょうか。
DAY6で源美咲が、「今日は、何がいい?」と聞いたとき、美咲は、「身体にいいのは……」と考え始めました。
ほんの小さな場面です。
けれど、ここに第2話で伝えたかったことが隠れています。美咲は「私は何を選ぶ?」と考える前に、「何を選ぶのが正しい?」を探そうとしたのです。
私たちも、同じことをしているかもしれません。
何かを選ぼうとした瞬間に、正解はどれだろう。失敗しないのはどれだろう。人からどう思われるだろう。今までの経験では、どちらがいいだろう。
そんなふうに、すでにある答えの中から「正しいもの」を探します。そこで源美咲は、こんなことを言いました。
「理由、なくてもいいんじゃない?」美咲は驚きます。「え?」そうですよね。
理由もなく選ぶなんて、 無責任なことのようにも聞こえます。
けれど、ここで言っている「理由がない」とは、
何も考えず、気分のままに行動することではありません。
源美咲は、もう一度言います。「美咲が選んだんでしょ?」そして美咲は、「……うん。私が選んだ。」と答えました。
とても短い言葉です。でも、この二つには大きな違いがあります。「身体にいいから、私はこれを選ぶ。」そこには、まず理由があります。
一方、「私は、これを選ぶ。」そこでは、選択の出発点が「私」にあります。
何かに選ばされるのではなく、 誰かの正解を選ぶのでもなく、
自分自身が、選択の源になる。
それが、第2話で美咲が初めて触れた「選ぶ」ということでした。
理由が選ぶのと、自分が選ぶのは、どんな違いがあるでしょう?これからの問いとして残しておきましょう。
ここで、とても大切なことがあります。「私は本当に自分で選んできたのだろうか?」そう問い始めると、「あの結婚は間違っていたのでは?」「あの仕事を選ばなければよかった」「もっと自分のために生きればよかった」
そんなふうに、過去を否定したくなることがあります。
でも、美咲の物語は、そこへ向かいません。
DAY7で美咲は、自分の人生を振り返ります。結婚したこと。家族と暮らしてきたこと。誰かのために頑張ってきた日々。
思い通りにならなかったこともあったでしょう。選べなかった、と思っていることもあるかもしれません。
それらを消して、 別の人生を始めるのではありません。
美咲は、静かに気づきます。「これも、私の人生なんだ。」
私たちは、過去を変えることはできません。でも、その過去をどう生きるかは、今ここから変わるのかもしれません。
「あの人のせいだった」「仕方がなかった」「本当はこんな人生を望んでいなかった」
そう思ってきた出来事も含めて、「これが、私の人生だった。」と受けとめる。それは、諦めることではありません。
むしろ、自分の人生を誰かに預けたままにせず、 もう一度、自分の手に取り戻すことなのかもしれません。
そこには、静かな勇気があります。そして、ある種の気高さがあります。
第2話の最後に、源美咲は聞きました。
「じゃあ、美咲。これからは?」
美咲は答えます。「まだ……わからない。」この言葉も、とても大切です。人生の答えは、そんなに簡単には出ません。
48年間生きてきた人が、ある朝突然、「これから私はこう生きます」と答えられなくてもいい。
でも美咲には、一つだけ言えることがありました。「これからは、私が選んでいきたい。」
Living Beauty Storiesが描きたいのは、「今の人生を捨てて、新しい人生を手に入れよう」という物語ではありません。
家族も、仕事も、これまで歩いてきた道も、
うまくいったことも、 うまくいかなかったことも、
すべてを含めて、「これが、私の人生。」
そこに立ったとき、初めて、「では、私はここからどう生きる?」という問いが生まれます。
その問いに、誰かが答えをくれるわけではありません。正解が書かれた本があるわけでもありません。
だからこそ、自分自身の言葉で、これからを創っていく。
それが、私たちが考える 「選ぶ」ということの始まりです。
大きなことでなくてもいいのです。今日、何を食べるか。誰に会うか。
何をやめるか。何を始めるか。
そして、これから、どんな人生を生きるのか。
理由を探す前に、一度だけ自分に聞いてみる。
「私は、どうしたい?」すぐに答えが出なくても大丈夫。
その問いを持ったところから、 何かが始まるのかもしれません。
美咲の物語も、まだ途中です。
Living Beauty Stories 第2話 「これは、本当に私が選んだ人生?」
物語の向こう側にいる、 あなた自身の物語も、ここから続いていきます。
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