DAY5:完璧に食べなくていい ― 「できなかった日」も、道の途中 ―

日本文化と健康 Aug 20, 2026

健康について学び始めると、
少し不思議なことが起こります。

知らなかった頃よりも、

「これは食べていいのかな」
「今日は野菜が少なかった」
「甘いものを食べてしまった」

と、気になることが増えていく。

身体を大切にしたくて始めたはずなのに、
いつの間にか食べることが
「できた・できなかった」の採点になってしまうことがあります。

でも、本当に大切なのは、
毎日100点の食事をすることでしょうか。

身体は、一食だけでできているわけではない

昨日の記事では、
身体の声を聞くことについて考えました。

身体は毎日変化しています。

よく眠れた日。
忙しかった日。
たくさん動いた日。
疲れている日。

季節によっても、
年齢によっても、
身体が求めるものは変わります。

だから、いつでも同じ「正解」に
自分を合わせようとするより、

今日の自分を見て、選び直す。

そのほうが自然なのかもしれません。

「できなかった」は、失敗ではなく情報

たとえば、「今日は食べすぎたな」と感じたとします。
そこで、「またできなかった」と終わってしまえば、
ただの後悔になります。

でも、「なぜ今日は食べたくなったのだろう?」と見てみる。

お腹が空いていた?
疲れていた?
寂しかった?
忙しくて昼食を十分にとれなかった?

そうすると「失敗」だと思っていたことが、
自分を知るための情報に変わります。

これもまた、
昨日お話しした「身体との対話」です。

続けるためには、柔らかさも必要

行動変容についての研究でも、完璧さだけを求めるより、うまくいかなかったときに自分を過度に責めず、再び行動に戻れることが大切だと考えられています。

特にセルフ・コンパッション(自分への思いやり)に関する研究では、自分を責めることよりも、自分に対して思いやりを持つことが、健康行動への動機づけと関連することが報告されています。

自分に優しくするとは、
「何でもいい」ということではありません。

むしろ、自分を大切にするから、もう一度選び直す。
ということなのだと思います。

道は、まっすぐではない

「道」という字を見ると、
一本のまっすぐな道を想像するかもしれません。

でも実際の人生は、
そんなにまっすぐではありません。

立ち止まる日もある。
寄り道する日もある。
昨日できたことが、今日はできないこともある。

それでも、また戻ればいい。
朝、果物を一つ食べる。
野菜を少し増やしてみる。
一口、ゆっくり味わう。
身体に「今日はどう?」と聞いてみる。

その一歩から、
また道は続いていきます。

完璧ではなく、続いていくこと

食べることは、一生続いていく営みです。

だからこそ、
完璧でなくていいのではないでしょうか。

大切なのは、
できたか、できなかったかではなく、
そこから何に気づいたか。

昨日とは違う自分に気づき、
今日また選んでみる。

それを繰り返しているうちに、
少しずつ自分らしい食べ方が生まれてくる。

それが「道」なのかもしれません。
今日、思うようにできなかったことがあったら、
「ダメだった」ではなく、

「ここから、私は何に気づけるだろう?」

と問いかけてみませんか。

できなかった日も、
ちゃんと道の途中です。


参考

Sirois FM, Kitner R, Hirsch JK. Self-compassion, affect, and health-promoting behaviors. Health Psychology, 2015.

セルフ・コンパッションと、食事・運動・睡眠などの健康を促進する行動との関連を検討した研究です。

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