「これは身体にいい」
「これは食べないほうがいい」
「この栄養素が足りない」
「今は、この食べ方がいいらしい」
私たちは今、
食について、たくさんの情報を手に入れられるようになりました。
とても便利な時代です。
でも情報が増えるほど、「では、私はどうなのだろう?」
が、わからなくなることはないでしょうか。
朝、目覚めたときの感じ。お腹の空き具合。
食べたあとの軽さや重さ。眠気。喉の渇き。便通。気分や集中力。
私たちの身体は、言葉ではなく、
こうした小さな変化を通して
毎日たくさんのことを伝えています。
けれど忙しい日々の中では、
その声を聞く前に、時間だから食べる。
いつも食べているから食べる。
情報で「良い」と言われたから食べる。
そんな選択が多くなっていきます。
野菜を切ったときの香り。
果物の鮮やかな色。
葉に触れたときの感触。
旬の食べもののおいしさ。
こうしたものに触れると、
頭で考えるより先に、
「おいしそう」「いい香り」
「今日はこれが食べたい」
と身体が反応することがあります。
自然環境と人間の健康については、近年さまざまな研究が行われています。
自然との接触と健康について多数の研究をまとめた系統的レビューでは、自然に触れることと、ストレスや心身の健康との間にさまざまな関連が報告されています。
もちろん、
「自然に触れれば身体の声が必ず聞こえる」
という単純な話ではありません。
けれど私たちもまた、
自然から切り離された存在ではありません。
自然に触れることは、自分自身の感覚に戻るきっかけになる。
そんな可能性はあるのではないでしょうか。
食の知識は、とても大切です。
でも、知識だけで食べていると、
自分の身体が置き去りになることがあります。
昨日食べて心地よかったものが、
今日は欲しくないこともある。
季節が変われば、
おいしいと感じるものも変わる。
年齢や暮らしが変われば、身体の状態も変わります。
だから、知ることと、感じること。
その両方が必要なのだと思います。
今日の食事では、
栄養成分を見る前に、
少しだけ食べものそのものを見てみてください。
どんな色でしょう。
どんな香りでしょう。
口に入れたとき、
どんな味がするでしょう。
そして食べたあと、
「今、私の身体はどう感じている?」と聞いてみる。
答えがわからなくても大丈夫です。
感じようとすることから、
感覚は少しずつ育っていきます。
「道」とは、
誰かの正解をそのまま歩くことではなく、
自分で感じ、自分で気づき、
また一歩進んでいくことなのかもしれません。
自然に触れ、
食べものに触れ、
そして、自分の生命に触れる。
食べることは、
自分の身体との対話でもある。
今日の身体は、
あなたに何を伝えているでしょうか。
Twohig-Bennett C, Jones A. The health benefits of the great outdoors: A systematic review and meta-analysis of greenspace exposure and health outcomes. Environmental Research. 2018.
自然環境への接触とさまざまな健康指標との関連について、143研究を対象に検討した系統的レビュー・メタ解析です。
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