おはようございます。
今日から生命力ジャーナルは、Vol.5日本人が育てた生命力をテーマに7日間お届けします。
日本は、まもなくお盆を迎え、夏休みの方も多いと思います。
帰省や旅行、夏を感じるひと時ですね。
今日のテーマは、「旬をいただく。」です。
スーパーに行けば、一年中、ほとんど同じ野菜や果物が並んでいます。
トマトも、きゅうりも、ほうれん草も、
季節を問わず手に入る時代になりました。
とても便利になった一方で、私たちはいつの間にか、
「今、何の季節を生きているのか」
を、食卓から感じることが少なくなっているのかもしれません。
日本人は昔から、
春には春のものを、
夏には夏のものを、
秋には秋のものを、
冬には冬のものをいただいてきました。
今日は、「旬」という日本の食文化から、
私たちの生命力について考えてみたいと思います。
旬という言葉を聞くと、
「旬の野菜はおいしい」
「旬のものは栄養がある」と思う方が多いでしょう。
もちろん、それも旬の魅力です。
でも、もう少し深く眺めてみると、
旬には日本人が大切にしてきた一つの生き方が見えてきます。
それは、人間も自然の一部として生きること。
春になれば芽が出て、
夏には太陽の光をいっぱい浴び、
秋には実り、
冬には静かに生命を蓄える。
植物には植物の時間があります。
そして人間もまた、
同じ季節の中を生きています。
旬をいただくということは、
その季節を生きている植物の生命を、
自分の生命に迎え入れること
とも言えるのではないでしょうか。
8月。
強い太陽の光の中で育つトマト、きゅうり、なす、ピーマン。
すいか、桃、ぶどうなど、
水分をたっぷり含んだ果物も豊かになります。
植物は、自分が動いて涼しい場所へ行くことはできません。
その場所で、
太陽を受け、
雨を受け、
土から栄養を受け取りながら、
その季節を生き抜いています。
私たちは、その植物をいただいています。
そう考えると、
野菜や果物は単なる
「ビタミン」
「ミネラル」
「食物繊維」
だけではなく、
その季節を生きた生命そのもの
のようにも感じられます。
日本の「和食」は2013年、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
ここで興味深いのは、
ユネスコが評価したのは、特定の料理そのものだけではないということです。
和食は、「自然を尊重する精神と結びついた、日本人の伝統的な食文化」
として紹介されています。
地域で採れる食材を使うこと。
季節の移ろいを料理で表現すること。
正月などの節目に食を囲み、
家族や地域のつながりを育てること。
つまり日本人は、食べることを通して、
自然と人間を切り離さずに生きてきたとも言えるのです。
▶ 世界の資料
UNESCO
「Washoku, traditional dietary cultures of the Japanese」
科学的にも、野菜や果物の栄養成分はいつも一定ではありません。
品種、栽培方法、成熟度、収穫後の保存期間、光、温度など、さまざまな条件によって変化します。
そのため、「旬のものなら必ず栄養価が高い」
と単純に言い切ることはできません。
しかし、このことは逆に、植物が機械的に同じ栄養を作っているのではなく、
環境と応答しながら生きている存在であることを教えてくれます。
太陽、温度、水、土。
植物もまた、環境との関係の中で生命を育てているのです。
私たち人間も同じではないでしょうか。
現代では健康というと、
「何を食べればいい?」
「何を摂ればいい?」
「どの栄養素が足りない?」と考えがちです。
もちろん、それも大切です。
けれど生命力という視点から見ると、
もう一つ大切な問いがあります。
「私は、どんな世界とつながって生きているだろう?」
朝起きて太陽を見る。季節の風を感じる。旬の野菜を手に取る。
食べ物を育ててくれた人を思う。
そして、「今年もこの季節が来たんだな」と感じながらいただく。
そんな小さな瞬間にも、
私たちは自然ともう一度つながることができます。
今日はスーパーや八百屋さんへ行ったら、
「今、旬のものは何だろう?」という目で、野菜や果物を眺めてみませんか?
いつもの「何を買おう」という目から、
「今、この土地、この季節には、どんな生命が育っているのだろう」
という目に変えてみる。
そして一つ、旬のものを選んでみてください。
食べる前に少しだけ眺めて、
「どんな太陽の下で育ったのだろう」と想像してみるのもよいでしょう。
いつもの一口が、
少し違って感じられるかもしれません。
**旬をいただくことは、
季節をいただくこと。季節をいただくことは、
自然の時間と、自分の生命を
もう一度つなぐこと。**
私たちは、
自然から離れて生きているのではありません。
今日食べる一枚の葉にも、
一粒の果実にも、
太陽があり、
水があり、
土があり、
季節があります。
そして、それをいただいて、
今日の私たちの生命がつくられていきます。
未来の健康は、
自然とともに生きる今日の一食から。
明日は、日本人なら誰もが何気なく口にしてきた言葉、
「いただきます」について考えてみたいと思います。
たった六文字のこの言葉には、
もしかすると日本人が大切にしてきた「生命」の考え方が、凝縮されているのかもしれません。
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