Living Beauty Stories|物語の向こう側 第5話 今の私を知ることから、人生は動き始める

living beauty stories Sep 19, 2026

――全部変えなくていい。「ひとつ」を自分で選ぶ

「私って……元気なのかな?」
第5話は、美咲のそんな小さな問いから始まりました。

病気というわけではない。

毎朝起きて、家族の朝食をつくり、
買い物へ行き、家事をして、
頼まれれば「はーい」と動く。

だから美咲は、自分のことを、「まあ……普通かな。」と思っていました。

でも、ふと気づきます。「普通って、どんな感じ?」
この問いが、美咲にとって新しい扉になりました。


「いつもの私」と「元気な私」は、同じだろうか

私たちは、長く続いている状態を「普通」だと思うようになります。

朝、なかなかすっきり起きられない。
夕方になると疲れている。
自分のことは、いつもあと回し。
ゆっくりする時間がない。
でも毎日できているから、

「こんなものかな」
「みんな忙しいし」
「年齢のせいかな」

と、そのまま通り過ぎてしまう。

美咲もそうでした。
けれど生命力診断の質問に一つずつ答えていくと、これまで見過ごしていた日常が見えてきました。

「朝、すっきり目覚めていますか?」
「……そういえば、朝から元気!って、あんまりないかも。」
「疲れが残っていませんか?」

買い物から帰って、椅子に座り、
「ふぅ……。」
でも家族から呼ばれると、すぐに、「はーい。」と立ち上がる。

その自分を思い出して、美咲は初めて言いました。
「……疲れてたんだ、私。」


自分を知ることは、自分を評価することではない

そして、生命力診断の結果が届きました。

食。
身体。
心。
暮らし。
未来。

美咲は、自分の現在地を眺めます。

「私、元気だと思ってたんだけどな……。」
ここで源美咲が問いかけました。
「元気じゃないってこと?」
「え?」
「今の美咲が、見えてきたんじゃない?」

この違いは、とても大切だと思います。

診断結果を見て、
「私はダメなんだ」
「ここが足りない」
「もっと頑張らなくちゃ」
と、自分を評価することもできます。

でも、本来「知る」ということは、判定することとは違います。

「ああ、今の私は、こうなんだ。」と見ること。

それだけです。
良い自分も、
うまくできていない自分も、
疲れている自分も、
未来に向かいたい自分も。
全部含めて、今の自分。
現在地がわかって初めて、そこからどこへ向かうかを選ぶことができます。


ところが美咲は、すぐに「改善」を始めました

結果を見た美咲は、ノートを開きます。
「早く寝て……」
「運動もして……」
「食事もちゃんとして……」

次々に書いていく。

そして、
「変えた方がいいこと、いっぱいあるなぁ……。」

すると源美咲。
「全部やるの?」
美咲の手が止まりました。

「え?」
ノートを見る。そして、少し笑います。
「……また私、やろうとしてる。」

ここには、美咲の昔からの生き方が表れています。
「もっとちゃんとしなくちゃ。」
「やるなら全部。」
「正しくやらなくちゃ。」

健康について学んだはずなのに、それが新しい「やらなくちゃ」を増やすだけになってしまう。これは、私たちにも起こりやすいことではないでしょうか。


健康情報が増えるほど、苦しくなることがある

健康について調べれば、たくさんの情報が出てきます。

もっと眠った方がいい。
運動した方がいい。
水を飲んだ方がいい。
野菜や果物を食べた方がいい。
ストレスを減らした方がいい。
どれも役に立つ情報かもしれません。

でも、それを全部、
「やらなければならないこと」に変えてしまったらどうでしょう。
健康になるための情報が、いつの間にか自分を追い立てるものになってしまうことがあります。

そこで源美咲は、美咲に一つだけ問いかけました。

「ひとつだったら?」


「ひとつ」と言われて、美咲が思い出したもの

美咲の頭に浮かんだのは、第4話で食べた果物でした。
色とりどりの果物。
洗ったときの水滴。
切ったときの香り。
口に入れたときの味。
そして、そのあと歩いていたときに感じた、

「あれ……なんか、軽い。」という自分自身の感覚。

美咲は冷蔵庫を開け、果物を一つ手に取ります。

「朝、果物を食べてみようかな。」
源美咲が聞きます。
「身体にいいから?」
美咲は少し考えて、
「ううん。この前、なんか気持ちよかったから。」

ここに、第5話の大切な変化があります。


「正しいから」ではなく、「私はやってみたい」

もちろん、食についての知識は大切です。
でも、美咲が今回動いた理由は、
「正しいと教わったから」だけではありませんでした。

自分で食べてみた。
自分で感じてみた。

そして、
「もう一度やってみたい。」と思った。
これは小さなことのようですが、美咲にとっては大きな変化です。

これまで美咲は、
家族のため。
常識だから。
失敗しないため。
ちゃんとした人でいるため。

いろいろな「理由」から選ぶことが多くありました。
でも今回は、「私は、これをやってみる。」

という選択が生まれ始めています。


7日間は、「自分を変えるため」ではなく「自分を知るため」

そんな美咲が見つけたのが、7日間の小さなチャレンジでした。

「7日間……?」
源美咲が聞きます。
「やってみたい?」
「うん。」
「何のために?」

そこで美咲は言いました。

「自分がどう感じるのか、知りたい。」

私は、この言葉が第5話の到達点だと思います。
「7日間で健康にならなくちゃ。」ではありません。

「完璧な食生活に変えよう。」でもありません。

やってみて、自分を観察してみる。

朝の感じはどうだろう。
身体はどう感じるだろう。

気持ちは?
食べたあとは?
生活のリズムは?
自分自身を実験の対象にするのではなく、自分自身に興味を持って生きてみる。

その7日間です。


変化は、「全部」からではなく「ひとつ」から

私たちは人生を変えようとすると、大きなことを考えがちです。

食生活を変える。
運動を始める。
早寝早起きをする。
自分の時間をつくる。
でも、大きな決意よりも、

今日、自分で選んだ小さな一つ

の方が、人生を動かすことがあります。

朝、果物を一つ食べてみる。
10分だけ歩いてみる。
今日は少し早く眠る。
窓を開けて風を感じる。
10分だけ自分のために使う。

大切なのは、その行動の大きさではありません。

「私は、これをやってみる。」

と自分で選んだかどうか。


今日、あなたも「ひとつ」選んでみませんか?

ここで、この文章を閉じる前に、一つだけやってみてください。

紙でも、スマートフォンでも構いません。
まず自分に聞きます。

「今の私は、どんな感じ?」

そして次に、
「今日、ひとつだけやってみるとしたら?」と聞いてみてください。

「やった方がいいこと」を探すのではなく、
「ちょっとやってみたいこと」を一つ。

思いついたら、できれば今日やってみる。

そして、そのあともう一度、

「私は、どう感じた?」

と自分に聞いてみてください。

これだけです。


自分を知ることは、未来を選び始めること

第5話の最初、美咲は言いました。

「私って……元気なのかな?」
そして、自分を見ていくうちに、「知らなかったな、私のこと。」と気づきました。

そして最後には、「自分がどう感じるのか、知りたい。」
と、自分から一歩を踏み出しました。

まだ美咲の人生が大きく変わったわけではありません。
でも、何かが確実に変わり始めています。

それは、
自分の人生を、自分自身が観察し、自分自身で選び始めたこと。
なのだと思います。

知る。
感じる。
選ぶ。
やってみる。
そして、また感じる。

この小さな循環が、やがて「自分の人生を生きる」ことにつながっていくのかもしれません。

美咲は、果物を一つ手に取りました。

そして言います。
「やってみよう。」
次の物語では、美咲が実際に7日間を過ごしてみます。

何が「正解」だったかではなく、

美咲自身に、何が起きるのか。
一緒に見ていきたいと思います。


Living Beauty Stories|物語の向こう側 第5話

「今の私を知ることから、人生は動き始める。」

あなたなら今日、
何をひとつ選びますか?

  
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