この一週間、「日本人が育んできた生命力」をテーマに、
私たちの暮らしの中にある
小さな文化を見つめてきました。
旬。
季節に自分を合わせ、自然の時間をいただくこと。
いただきます。
自分は、ほかの生命をいただいて生きていると知ること。
発酵。
人間だけですべてをつくろうとせず、
目に見えない生命の力を借りること。
お盆。自分の命は、
自分から始まったのではないと知ること。
自然への感謝。自然は自分の外側にあるのではなく、
自分自身も自然の一部だと気づくこと。
そして、和食。
食を通して、自然、人、地域、過去、未来をつないでいくこと。
一つ一つを見ていると、
その奥には、共通した一つの考え方が
流れていることに気づきます。
それは、生命は、一人では生きていない。ということです。
今日は、この一週間の最後に、
これらの知恵を「懐かしい日本文化」として振り返るのではなく、
これからの時代へ、どうつないでいくのか。
一緒に考えてみたいと思います。
Raw Foodは、
野菜や果物、ナッツ、種子など、植物性の食材を、
できるだけ自然に近い状態でいただく
食の考え方として世界に広がってきました。
JLBAも長年、Raw Foodを学び、伝えてきました。
最初は、「加熱しない」「酵素」「栄養」「健康」
というところから
興味を持った方も多かったと思います。
けれど、長くRaw Foodと向き合っていると、あることに気づきます。
目の前にある
一枚の葉。一個の果物。一粒の種。
そこには、人間がつくることのできない
生命の営みがあります。
種を土に置けば、条件が整ったとき、
芽が出る。葉が開く。太陽へ向かって伸びる。花を咲かせ、実をつけ、
また次の種を残す。
私たちは、その生命をいただいて生きています。
そう考えると、Raw Foodは単なる
「調理法」ではなく、
食べ物を、もう一度“生命”として見る入口にもなるのではないでしょうか。
Raw Foodという言葉や
現代的なムーブメントは、
海外から日本へ入ってきました。
でも、この一週間見てきたように、
日本には昔から、自然と共に生き、旬をいただき、食べ物に手を合わせ、
微生物の力を借り、家族や地域で食をつなぎ、自然の恵みに感謝する文化がありました。
そこで私たちは、一つの可能性を感じています。
世界から学んだRaw Foodと、
日本人が育んできた生命の知恵。
この二つを出会わせることはできないだろうか。
その問いから生まれたのが、Rawfood道という考え方です。
日本には、茶道、華道、書道、柔道、剣道、弓道など、
「道」という文化があります。
「道」は、技術を身につけて終わるものではありません。
繰り返し実践する中で、自分自身を見つめ、
人との関わりを学び、在り方を育てていく。
だからRawfood道も、「ローフードの正しいやり方を覚える道」ではありません。
何を食べるのか。
どう食べるのか。
どんな身体でありたいのか。
どんな人生を生きたいのか。
人とどう関わるのか。
自然とどう生きるのか。
そして、自分の生命を、何のために使っていくのか。
食という身近な入口から、それを探究し続ける。
それがRawfood道です。
ここは、とても大切にしたいところです。
Raw Foodについて学ぶと、
「生が正しい」「加熱はよくない」「これを食べなければならない」
という方向へ行ってしまうことがあります。
でも、Rawfood道が目指したいのは、
正しい食事を決めることではありません。
人によって、年齢も、身体も、暮らしも、文化も、必要な食事も違います。
科学から学ぶ。
自分の身体の声を聴く。
伝統から学ぶ。
そして実践しながら、
自分に何が起きるのかを観察する。
答えを外から与えてもらうのではなく、
自分の生命と対話できる人になる。
そこを大切にしたいと思っています。
この生命力ジャーナルでも、
毎回できるだけ世界の研究を紹介しています。
なぜなら、伝統だけでもなく、科学だけでもなく、両方から学ぶことが
これからの時代には大切だと考えているからです。
植物性食品を多く含む食事については、
心血管疾患、2型糖尿病、体重管理、死亡リスクなどとの関係が、
世界中で研究されています。
一方で、「植物性なら何でも健康的」というわけではありません。
また、厳格な食事制限を行う場合には、
不足しやすい栄養素への配慮も必要です。
だからRawfood道では、一つの食事法を
絶対的な答えにするのではなく、
科学から学び、
日本の食文化から学び、
そして自分自身の身体から学ぶ。
その三つを大切にしていきたいのです。
そして今、私たちはAIという
大きな変化の時代を生きています。
知識を調べる。栄養を分析する。研究を探す。データを整理する。
こうしたことは、
これからますますAIが助けてくれるでしょう。
では、人間は何をするのでしょう。
食べ物を見て、「おいしそう」と感じる。
身体の小さな変化に気づく。
季節の風を感じる。
誰かと食卓を囲んで、
その人の表情を見る。
「今日はこれを食べたい」という身体の声を聴く。
そして、自分はどんな人生を生きたいのかを考える。
それは、人間が自分の生命を生きるということ。
AIから知識を得ながら、人間はもっと、
感じる。味わう。つながる。創造する。
Rawfood道は、AI時代だからこそ、
そんな人間の生命力を
育てる「道」でありたいと思っています。
知識は、知っているだけでは人生を変えません。
旬について学んだら、旬のものを一ついただいてみる。
「いただきます」の意味を知ったら、食べる前に3秒、食べ物を見てみる。
発酵を学んだら、自分のキッチンにある発酵食品を見てみる。
自然について考えたら、外に出て風を感じてみる。
小さな実践をすると、知識が、自分の体験になります。
その体験を繰り返すことで、やがて、「やっていること」が
「その人の在り方」になっていく。
知る。
やってみる。
感じる。
振り返る。
また実践する。
道とは、
この繰り返しなのかもしれません。
この一週間、日本文化を見つめ直してみて、
私たち自身が
気づいていなかった豊かさが
たくさんありました。
「いただきます。」旬をいただく。発酵を生かす。
自然に感謝する。食卓を囲む。命をつなぐ。
日本では
あまりにも当たり前なので、
特別なものだと
思っていなかったかもしれません。
でも、世界がこれから、健康だけでなく、持続可能性、人とのつながり、
自然との共生、そして「どう生きるのか」を考えていくとき、
日本が育ててきた生命の知恵には、
世界と分かち合えるものが
たくさんあるのではないでしょうか。
Rawfood道は、
日本の文化を
世界に誇るためだけのものではありません。
世界から学び、日本からも差し出し、互いの知恵を持ち寄りながら、
人と地球の生命が、
ともに豊かになる未来をつくる。
そんな道になっていけばと願っています。
今日は、
日本にとって
過去を振り返り、
平和について考える
大切な日でもあります。
歴史については、
さまざまな立場や記憶があります。
だからこそ、一つの答えを語るのではなく、
今日は静かに、「私は、未来へ何を渡したいだろう」
と問いかけてみたいと思います。
私たちは、過去を変えることはできません。
でも、今日の一食を選ぶことはできます。
誰かを大切にすることができます。
自然を大切にすることができます。
次の世代へ、
何かを渡すことができます。
未来は、遠いところで
突然始まるものではなく、
今日、私たちがどう生きるかから
少しずつつくられていく。
食もまた、
その一つなのではないでしょうか。
この一週間を
少し振り返ってみてください。
旬。いただきます。発酵。お盆。自然への感謝。和食。
あなたが、「これからも大切にしたい」
と思ったものは何だったでしょう。
一つで構いません。
そして今日から、それを小さな行動にしてみてください。
その一歩が、あなた自身の「道」の始まりです。
生命力とは、
一人で強くなる力ではない。自然から受け取り、
他の生命から受け取り、
人から受け取り、
過去から受け取り、自分という生命を通して、
また未来へ渡していく力。食べることは、生きること。
そして生きることは、
生命をつないでいくこと。Rawfood道とは、
食を入口に、
自分の生命を生きる道。
この7日間、
「日本人が育んできた生命力」を
一緒に旅してきました。
でも、ここがゴールではありません。
むしろ、ここからが始まりです。
知ったことを、今日の食卓へ。
今日の食卓から、自分の暮らしへ。
自分の暮らしから、大切な人へ。
そしていつか、次の世代へ。
日本で育まれてきた生命の知恵を、懐かしい過去ではなく、
これからの未来をつくる知恵へ。
私たちは、その一歩をRawfood道と呼んでいます。
UNESCO
“Washoku, traditional dietary cultures of the Japanese”
和食を、自然を尊重する精神と深く結びついた日本の伝統的な食文化として紹介。
American Heart Association
植物性食品を中心とした健康的な食事パターンを、心血管の健康を支える食生活の一つとして推奨。
World Health Organization
健康的な食生活では、果物、野菜、豆類、ナッツ、全粒穀物など、多様な植物性食品を取り入れることを推奨。
生命力ジャーナル
Life Force Journal
― 世界の健康研究から、生命力を読み解く ―